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燕秀1

2010年04月18日 16:53

貴陽を出る前、秀麗の体調はまだ普通で。
出た後は眩暈と、吐き気でどうしようもなくなってきた。
リオウの薬でなんとか、起き上がれる日もあるという具合である。
それでも、どんなに体調が優れていなくとも、最後の官吏としての仕事、、紅州行きを無理にでも行った。

・・・なんなのこれ、、ほんと、冗談じゃないわ。






紅州に向けての馬車の中、暑くもないのに額ににじみ出る脂汗を布で拭い、秀麗は放心したように空を見ていた。
次の関所で蘇芳と合流し、一刻も早く紅州に向かって当主に会うのが今回の仕事。
貴陽を逃げるように出発したのも、最後の仕事を早くやり遂げたいのか、本当に何かから逃げ出そうとしたのか、、秀麗は自分の心がいまどこにあるのかもわからなかった。

馬車は揺れ、激しい動きに思考能力が飛ぶ。
燕青の声が遠くに聞こえた。
「姫さん、もうすぐ関所だ!蘇芳と合流するまでちょっと休めるぞ」
旅籠をかねた小さな宿場町として機能している関所はもうすぐで、坂道を転がるように悪くなっていく自分の体調とは裏腹に、貴陽を離れて行くことに秀麗は少なからず安堵していた。

・・・

夜。
蘇芳はまだ到着していなく、届けられていた文にはあと数日ほどで到着するとのこと。
もうそろそろ紅州との境が近くなってきた頃だった。
リオウの薬でなんとか持ち直して、今日はそこそこ気分がまともだった。
弱い月の光も、体に心地よく感じていた。
・・今日はそこそこ・・
秀麗は久々に自分の足で歩き、部屋の縁側に腰掛け、自分のことを考えていた。
なんとなく、、本当になんとなくだけど、、この体は、、

「姫さん」

低い、とても静かな声がして、秀麗の体に掛け布が巻かれる。
ちょっと肌寒くはあったが、また寝台にまで戻る気がしなかった秀麗はありがたくその好意を受け取った。
「女性の部屋に、、入ってくるときは声を掛けて頂戴よ」
「かけたさ。声がしなかったから心配になって入っちまった。わるかったな」
普段そんな拗ねたような言葉を使うような燕青ではなかったことから、秀麗はこの忠実な、、そんなこと思ってはおこがましいと思っているが、、かなり心配をさせてしまって心苦しいと思った。
「ごめんね、、でもきっと紅州に着いたら、気分は良くなるわ、、」
「なぁ、、紅州より、貴陽に戻ったほうがいーんじゃねぇ、、?もうこんなとこまで来てアレだけどさ」
燕青は秀麗の隣に座り、さりげなく夜風が当たらないようにしてくれている。
・・ほんとに、この人はもう・・
秀麗は微笑んだ。
「だめ、、。絶対、いくの。紅州。もどるなんて上司として許さないから」
燕青はわかりましたよ、といった具合に、秀麗の頭をなでる。

・・そのまま、沈黙がおちた。

この太陽のような男が、、自分のそばにいる理由は自分が官吏だから。。
秀麗は前に燕青から直接言われたことを思った。
官吏でない姫さんのそばにいても意味がない。俺は静蘭とは違う。
まっすぐに、秀麗の目を見ていった言葉。嘘はなく、燕青の本心だということだなんて、、、わかってる。
だから、この紅州行きを最後に、この男とは永遠に別れてしまうだろう。
強くてやさしく、、どこまでも厳しい男。
劉輝や、静蘭に向けている思いとは違う、想い。

・・燕青は、知らなくていい。
秀麗はわずかに燕青に体を預ける。
燕青は秀麗の体を預かりながら、ずり落ちかけていた掛け布を直してあげた。
「燕青」
「ん?」
「もし、、この紅州行き終わったら、、私は官吏を辞めると思う。それでもあなたは、中央の官吏になって、、、劉輝を助けてあげて」
「いいよー。それが姫さんの望みなら」
前もこんなこと話題にしたような気がする。そしてその時はもうちょっと深刻そうな口調で言ったような気がするけど。
秀麗は力なく微笑んだ。
「・・うそばっか」
「いやー、ほんとほんと。姫さんがいなくなったらすーぐに国試及第して宰相になって後宮の姫さんに自慢しまくってやるよ」
秀麗にはその嘘がすぐわかる。燕青には秀麗が官吏を辞めた後、たぶん、中央の政治の中には戻らない気がした。
「悠舜さまを助けるためでも?」
「あー、、まぁ、それはその時の状況次第だな」
藍州に行く前は今のところ助けは必要ない、と言っていた燕青だったが、、今の状況は悠舜にとっても辛いかもしれない、と思ってきてはいる。
後は王次第、、藍州からの帰路に劉輝の姿を見て、燕青は思った。
後は、王次第、、。
燕青は秀麗をみた。秀麗と王の繋がりがなければ、今の政情はなかったかもしれない。
しかし、燕青と秀麗が今こうして同じ時を過ごすと言うことも、またなかったかもしれない。
ただ、、それを差し引いたとしても、今の王は公私を同一にし、職権乱用を繰り返しているようにしか見えない。本人がどう思おうと、それが王としての評価につながる。そして、それは致命的な弱点になりつつある、、。
秀麗は、わかっているはずだ。
自分に対する優遇。特別処置。法を曲げての人事。
それに対する秀麗の行動は官吏となって出世して行くことしかないというのに。次につながる女性官吏を輩出して行くということなのに。
「燕青は、劉輝が嫌い?」
今の燕青の考えを問うような秀麗の言。
「今の王には俺なんかより有能な人材がたくさんいるはずだぜ。それを使う、使わないかは、、本人次第だな」
「相変わらずきびしいわね」
「まぁな」

それきり、二人は黙った。
秀麗の体は夜風に吹かれてもまだ温かく、熱があることを示していた。
燕青は額に張り付いた髪を優しくかきあげた。

「燕青、、」
「ん?、そろそろ寝台に」
秀麗はぼうっとした瞳を燕青に向けた。
「わたし、、もうすぐ死ぬのかな?、、」
これには燕青がぎょっとした。なんだって?
「ひ、、」
「何か、、わかるの。自分の体が変なことくらい。いままでこんなことなかった。、、燕青に話してないけど、今までいっぱい、、、変なことたくさんあった。なんで、、」
なんで、、今なんだろう、、
秀麗の声は最後は消え入るように小さくなった。
「いい。姫さん。もう考えるな。そんなことあるわけない!」
人間の寿命には限りあるけど、それが今じゃなくていいだろう?!燕青は秀麗を抱く腕に力をこめる。
「前に、燕青、母さまの加護って、言ってくれたことあったよね、、。お墓参りの時、、。母さま、私に愛想を尽かしたのかな、、。私が、もっと、頑張れていたなら、、」
十分頑張っている、とばかりに燕青は秀麗を両手で抱きしめた。秀麗は抵抗することなく、燕青に体を預けた。体温が熱のせいだけでなく
劉輝には何度も抱きしめられたが、こんなにやさしく抱きしめられたりはしなかった。
秀麗はちょっと微笑んだ。
「、、年の功かしら」
「あん?」
この雰囲気にそぐわない秀麗のつぶやきに燕青はちょっと体を離し、秀麗をみた。
「ねぇ、、燕青?私が貴陽に戻りたくない、私を連れて逃げて!命令よ!言ったら、あなた、ついてきてくれる?、、官吏じゃなくなるけど」
燕青は秀麗をみた。熱に浮かされた上での発言だとしても、秀麗がそんなことを言うとは。
「、、ああ。それが姫さんの官吏としての最後の願いって言うんだったら、俺が拒否るこたー、できねーって」
「そうね、、最後の願い、か」
秀麗は目を閉じて思った。この紅州行きが、本当に最後の仕事になるけれど。
その間に決めたことなら官吏として決めた願いになるのかな?
燕青の体はとても温かくて、自分の熱もあいまって眠くなってきた。
意識が落ちる前に、秀麗はつぶやいた。
「やっぱ、だめ。そんなこといえないもん。無理無理。最後だなんて、、私は官吏を辞めたくない、、辞めたら、燕青、私からどっかいっちゃう、、もっとこき使ってあげるから、、!現実的じゃないわー、、」
そうつぶやいてから、秀麗の意識は落ちた。
燕青は嬉しそうに微笑んだ。
その言葉が、熱に浮かされた上での発言だとしても、そして絶対無理といわれても、その言葉を発してくれただけで燕青は嬉しかった。
「、、十分こき使われてるんだけどなー」
空を見上げる。満点の星。弱い月の光。
新月に向かう月の満ち欠けのように、秀麗の命が消えてしまうのかも知れない。
それが秀麗の命数だとしても。
「そんときゃ、俺が姫さんを生かす手段を考えてやっからさ」
具体策はない、無い、、が。
秀麗をどんな気持ちであれ、待っていてくれる人がいる限り、そして自分が秀麗ともっと一緒にあるために。
燕青は前髪をかき上げ、かすかに、秀麗の額に口をつけた。そして寝台に横たえるために抱き上げた。。。

・・・・・・・


ここから深くはなりえなさそうで、なりえそうな二人がスキ。


  はじめにお読みください。
  
  こちらのサイトはFF5・聖剣3・彩雲国物語の二次創作小説サイトです。
  カップリングはバツレナ・デュラリー・燕秀がメインです。
  (それ以外はあんまりありません)
  かわいいくらいのエロあります。閲覧は自己責任でお願いします。
  
  上記ゲーム等の版権元様とは一切関係ありません。
  

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