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デュラリー4

2010年04月21日 22:44

31. 心配


「私のことなら大丈夫です」
差し出した手を拒んで、リースは首を振った。
「先にアンジェラを助けてあげて」






視線の先には巨大な樹の幹にぐったりと身を預けているアルテナの王女。
ヒールライトはあと1回。薬草残り少し。
「・・・」
俺は迷った。
「早く」
リースは気丈に微笑むが、その身体に受けたダメージが大きいのを俺は知っている。
俺はため息をつくとアンジェラのそばにより、回復呪文をかける。
・・俺にもう少し魔力があれば。
この状況も少しは楽になるのに。
アンジェラの頬に赤みが差し、荒かった呼吸が落ち着いてきた。
「大丈夫ですか?」
「・・うん。落ち着いたみたいだ」
良かった、とリースは微笑む。
「ちょっと、休もう」
何とか日暮れまでにはこの森を抜けたいが、この状況だと無理かもな・・。

「・・デュランは大丈夫ですか?」
つらいだろうに、俺に心配掛けないように笑顔でいるリース。
「・・・ああ・・。俺は大丈夫だ」
「よかった」
しかし、さっきからリースが左脇をかばっているのがわかる。
何かしらの傷っを受けているのは確かなのだ。
でも、彼女は言わない。
俺は、リースが心配だ。
自分がどんなに傷ついて回復が必要だとしても、まずリースは仲間のことを心配する。
自分のことはいつも後回しなのだ。
王族としての姿勢の表れだろうか・・。
時折リースは傷が痛むのか眉をかすかに寄せる。
俺は、もう我慢できなかった。

「リース」
俺はリースの左腕をつかみ鎧をはずす。
「何を・・」
リースの目が驚いたかのように見開かれ、俺がしようとすることを察知すると、「やだ・・」と抵抗する。
でも、力はない。
「静かに。アンジェラが起きるだろ」
リースは黙った。いや、観念したと言うべきか。
俺はリースの身体を締め付ける鎧をはずすと、その下に赤黒い血で濡れた服もナイフで裂く。きれいな白い肌と、傷が現れる。
リースが息を飲むのを感じた。しかし俺は構わず傷を調べる。
「毒・・か」
さっきの魔物とも戦いでやられたんだろう。すぐに命を落とす毒ではなさそうだが、徐々に毒が身体全体を回って死に至るものだろう。
「・・なぜ、言わない?」
リースの頬は心なしか紅潮していた。
「・・心配を掛けたくなかったの・・」
ポツリとつぶやいた彼女は、日ごろ背中を預けあっている"戦士"としてのリースそのもの。
気丈に仲間を守ろうとする戦士。
しかし。
「足手まといになる可能性もあった」
俺は故意に冷たく聞こえるようにつぶやいた。
そんなに傷は深くない。毒を吸い出して、薬草を塗れば大丈夫だ。
「あんたの毒があんたを殺して、それで俺たちが生き残っても、意味がないだろう?」
そう、リースは聖剣の勇者。
リースはうつむいた。
「だから」俺は道具袋から薬草を取り出す。「たまには俺を頼ってくれ」
リースがぱっと顔を上げて俺を見た。にやり、と俺は笑う。
そして、リースの身体に顔を寄せ、傷に唇を寄せ、毒を吸い上げた。
「~~~~!」
リースは声にならない声を上げた。黙ってろ、といいたくてさらに強く毒を吸った。
口の中に広がる苦いもの。そして鉄のような味。
唇を離して毒を地面に捨てる。赤黒い液体が地面に染みをつける。
水を含み口をゆすぐと、きれいな布で傷を拭き、薬草をつけた。
リースの顔をちらりと見ると、耳まで赤かった。
「なんだ?」
俺は聞いた。
「なんでもありません!」
帰ってきたのはやや悲鳴じみた声。
俺はにやりと笑うと、傷口に布を張り、元通り鎧を着けた。
リースはまだ黙ったままだたが、遠慮がちに俺を見て小さく「ありがとうございます」といった。
「いいや」俺は笑った。「アンジェラをおこして先を急ごう」

俺が、リースを心配するのは、彼女が戦士だから。
自分を心配する余裕がないときは、俺が心配してやろう。
俺はアンジェラを揺り起こしながら思った。


後日。

温泉宿で久々に疲れを癒していたとき。
「あれ?」
アンジェラがリースの身体を見る。
「リース、それ、キスマーク?」
「は?!?」
傷はすっかり治ったが、デュランに吸われたあとはまだくっきり残っていた。
「やだー、リースも隅に置けないのね!だれ?!だれ??」
「しりません!」


おわり


  はじめにお読みください。
  
  こちらのサイトはFF5・聖剣3・彩雲国物語の二次創作小説サイトです。
  カップリングはバツレナ・デュラリー・燕秀がメインです。
  (それ以外はあんまりありません)
  かわいいくらいのエロあります。閲覧は自己責任でお願いします。
  
  上記ゲーム等の版権元様とは一切関係ありません。
  

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