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燕秀3

2010年05月15日 13:49

*秀麗実は死なないんじゃない?という希望的設定。
*しかもその3年後設定。

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御史台の仕事は増えるばかり。
秀麗はため息をついた。

王座を揺るがすあの事件から3年が経ち、秀麗の命もつながり、劉輝と秀麗の間も何とか解決して、劉輝は十三姫を正妃として娶った。
十三姫は現在妊娠中だという。
秀麗は葵長官と、リオウのおかげで、御史台に残ることが出来た。
すでに紅家直径の姫を、として迎えたいとの劉輝の意向を仙同省の長であるリオウが強行に反対したせいでもある。
それをまた葵長官が助けてくれた。縹家から持ってきた数々の証拠をたてに。

、、、それが3年前。

清雅とは相変わらずの日々だが、また皇毅の下で働けると言うことはとても嬉しかった。

「ただ、それだけではねぇ」
秀麗はもっと手柄を立てなければ、と言う意識がさらに増した。
秀麗が合格した時以降止まっていた国試の女人試験もまた再開し、まだまだ位の高い女性に限られてはあるが、ぽつぽつと女性の志願者も出てきてはいる。
後は一般市民の国試参加のため。
今は貴族・一部の金持ちにしか開かれていない政治の場を庶民が参加できるようにするため。
秀麗は出世するべきなのだ。
そう、劉輝とも約束をした。
王として、そばで助けると。

「姫さーん。こっちの書翰、決済してー」
秀麗は燕青の声で止まっていた脳を動かし始めた。
そう、燕青はまだ秀麗のそばにいてくれていた。
国試の勉強をするという名目ではあるけれど、皇毅がやはり手放したくなかったのと(秀麗はいつでも飛ばしたがったが)、秀麗も燕青を手放したくはなかったから。
「ん、かして」
「いーよ、すわってろって。もってくからさ」
ゆっくり立ち上がった秀麗を制し、燕青は書翰を秀麗の机においた。
「ありがと。今見ちゃうから、まってて」
相変わらず燕青が手配した書翰については秀麗が確認することなく、ほぼ完璧にしつらえてあり、本当に判子を押すだけだった。
「さすがねぇ、、」
「ん?なに?」
燕青は三十路を超えて、さらに精悍になった顔をさする。ちょっと無精ひげが生えているが、最近の秀麗は無精ひげくらいじゃ何も言わなくなってきた。さすがにくま髭は注意するが、ちょっとくらいなら、と。そんな意味でも大人になってきた。
「やっぱり、燕青、いい仕事するわ」
「おろ。褒めていただけるとは光栄至極~」
「茶化さないで。 、、でも本当に。いい加減国試、受けてもいいのよ?」
それはつまり、国の政治に参加して行くこと。秀麗の下ではなく。
「いーよ。まだ。っていうーか、あんまり受ける気ないっつーか、、、おっと、、、いつかは受けるぜ。そりゃー、前に姫さんと約束したしなぁ、、」
燕青の声はどんどん小さくなっていった。
しかしまだ国政に参加する気が無いようではある。
秀麗はその言葉を聞くと、ちょっと安心する。まだ燕青に見限られてはいないという安心感。
「ごにょごにょ言わないの。いーのよ。感謝してるんだから」
秀麗はそういってにっこり笑った。3年前よりとても大人びた微笑み。
「燕青にはほんとにありがとうって、伝えたくて。この3年間、あなたがいなければ何も出来なかった」

この3年も秀麗の周りは平穏とはいかず、静蘭は劉輝のそばで仕えるために城に上がった。
たまに帰ってはくるが、以前のように守られることもなくなった。
父も、本家との行き来であまり家にいない。
秀麗の周りは少し、変わってしまった。
だが燕青だけが、変わらずにそばにいてくれているのだ。
ただし、官吏としての秀麗のそばに。
それがちょっと嬉しくもあり、なんともいえぬ感情でもあり、秀麗はとっても複雑な気分を抱えることとなっている。

「どーした、姫さん。ちょっとかわいくなってるぜ」
「いつもかわいいわよ。ちょっと感傷的なだけ」
燕青は微笑んだ。秀麗は身体も心も、あの時を境に変わってきたようだった。
あんなに幼児体型を気にしていたが、今では女性の丸みも出、出るところも(少しは)出、女性としての魅力も出てきた。
「うん。かわいいと言うか、美人になってきたな」
燕青はいつもと変わらぬ笑顔を演出して、微笑んで見せた。
「、、何よ。嬉しいこと言ってくれるじゃない。、、それも母さまのおかげだと思うけど」
「そだな、、今までみたいに子供あつかいできなくなったな!」
「今まで子供あつかいしてたのね、、」
秀麗は苦笑した。頭を子供みたいになでられたり、抱き上げられたり。思い当たることはたくさんあった。
「姫さんは大人になる前の一番子供と大人と両方使える時期を過ごしてなかったと思ったからなー。静蘭も姫さんに甘えてばっかだったし。だからせめて俺だけは子供あつかいしよっかな、なーんて」
そうだったんだ。秀麗はちょっと驚いた。
「最近はほーんと、綺麗になったよなー。普通の人生を選んでたら、もうひっきりなしで縁談がきてたんじゃね?よりどりみどりだったな!」
「そうねぇ、、そうしたら貴族のろくでなしとか、成金のおっさんとか、良くて政略結婚だったか、、」
あ、それはあったんだった。と、秀麗はどきりとした。そういえば政略的なことに利用されまくった数年間だった。
燕青は自分の無精ひげをなでながら、秀麗を見つめた。
「な、なに」
「普通の人生を選んでも、姫さんは政略結婚を選んでたって思うのな」

秀麗はどきりとした。

「だって、、だって、父様はああだったし、静蘭もああだし。わたしだって、、」
「静蘭のことは拾わなかったら、ってこと」
燕青は近くの椅子を引っ張り出しどっかりと座る。印をもらった書翰を脇にどけ、秀麗の机の斜め前に座り、腕を組んだ。
なんだか性悪な試験官と面接をしているような気分だ。背中が知らぬ間に緊張してくる。
「邵可さんと、母さんと、3人。母さんもしっかり生きてて、貧乏じゃなくて、姫さんの身体も元気で。そういう感じだったときって意味」
「、、、そんなの、、現実的じゃないわ」
「現実的じゃなくたっていーじゃんか。純粋に恋愛をして、政略的にじゃなく、家族を作るって、いーことだとおもうぞ」
確かに、そうかも、、でも幸せな『結婚』を考えるためには、この10年の時はいろいろありすぎて。
「ダメよ、、」
秀麗は泣き笑いのような顔をした。
「私には一緒にいて幸せになれるような家族を作る自信がないわ。それに」
それは、一生子供を産めないという事。子供という存在が家族にとっていかに大事なものか。
燕青は黙って聞いていた。
「私が結婚したら、燕青はどこに行くのよ?借金だらけで、彼女もいなくて、貴陽に住む家もないじゃない。良くて浮浪者よ、浮浪者!そのうち葵長官あたりにとっつかまって御史台の仕事をたんまり振り分けられて、死ぬまで宿無しでコキ使われるようだわよ」
「う、、それは、、まぁ」
「そうよ、それにうちの父と叔父様とついでに絳攸様とその他もろもろの紅家の家族の中でやっていける人なんてほっとんどいないわよ。考えるだけ無駄無駄!私はいき遅れる運命なの」
秀麗はぷいっと燕青から目をそらすと、机の上の未決済の書翰の山を引き寄せた。
じわりと、瞳に涙が浮かんだ。好きでいき遅れてるわけじゃないし、邵可が秀麗より先に死ぬのは明らかだから、その時秀麗は一人になってしまう。まだ先のことだと思いたいが、いずれはその時がくる。
その時、自分はどうしているだろう。
劉輝と十三姫のことが頭に浮かぶ。二人は似たもの同士で、意外とうまくやっているらしい。秀麗がいなくてもだいじょうぶ。
ただ、本当に一人になった時に自分はどうするのか。

燕青はまたもくもくと仕事を始めた秀麗をじっと見つめた。
そしてため息をついて、前髪をかきあげる。椅子から立ち、秀麗座る椅子のすぐ脇に胡坐をかいた。
「姫さん」
「なによ」
「、、、こっちおいで」
燕青は自分の腿をぽんとたたいた。
秀麗の顔がゆがむ。
「もう子供あつかいしないって言ったじゃない、、!」
言葉とは裏腹に秀麗は素直に燕青の膝の上に座って、その胸に顔をうずめた。
肩が震える。燕青の服をぎゅっと小さな手が握る。
燕青は腰を抱きしめ、頭を撫で、秀麗が落ち着くまでずっとそうしてくれた。
「姫さんは一人になんかならないよ」
燕青は秀麗の耳元で呟いた。その心地のいい声に秀麗は首を振った。
「だって、、燕青も私が、、官吏じゃなくなったら、、、私をおいて行っちゃう、、」
涙声でいう秀麗を燕青はやさしくなだめる。
「置いて行くもんか。姫さん、俺にとっちゃサイコーなんだぜ。邪魔者もいなくなってるって言うのに、なんで俺が姫さんのそばを離れるのさ」
燕青の言葉に秀麗は顔を上げる。邪魔者?邪魔者ってもしや。
「静蘭はいねーし、邵可さんはほとんど実家だし。あの家にいるのって今二人きりなんだぜ。俺ってば姫さんに愛されてるしー。お膝抱っこされてくれるってことは、すげー心、許してくれてるってことだよな?」
実は邵可には家を空けがちなことに対して、笑顔で釘を刺されてはいたのだが、この状況ではその釘は無いに等しくなってしまった。
でも後で絞め殺されるだろう。確実に。
燕青の瞳がいたずらっ子のように光る。それを見て秀麗の涙は何故か止まった。そしてそれに変わるように羞恥心がこみ上げる。
「俺も姫さんももう妙齢でいい歳なんだぜ。それで邵可さんも安心して俺と姫さんを二人っきりに
してくれるなんて、もう邵可さんには認められたようなもんだよな!」
嘘である。
「そ、そうなの、、?」
「うん」
嘘である。
「それに、官吏の姫さんだから俺はそばにいるって、確かに言った。それは確かに変わらない。でも、正直、そんなの結構、もうどうでもよくなってきちまってるのもある」
え?秀麗はどきりとしてすぐ上の燕青の顔を見上げた。
「だって姫さんは官吏を辞める気はもうないだろ?」
「う、うん、、そりゃぁ、、、」
「そしたら、俺も姫さんのそばを離れるわけにはいかないんだよ。何があっても」
燕青の口調からいつもの飄々とした軽さはなくなっていた。今までに何回かしか聞いたことの無い様な、とても真剣で、情にあふれた言葉。
「ずっと、そばに」
今まで、何の条件も無く、見返りも無くそんな事を言うのは後にも先にも父である邵可だけだと思っていた。しかし、今ここに邵可以外の男がそれを言った。
秀麗の瞳からまたポロリと涙が落ちる。悲しいわけではなく、嬉し涙。
また泣いてしまったのを見られたくない一心で燕青の胸に額を押し付けた秀麗であったが、燕青にはばれていたようだ。
「なんだー?姫さんは今日は泣き虫だな」
よしよしと頭を撫でられる。
「、、私を置いていかないでね。死んだりしないでね」
「心配すんなって」
「、、、燕青は私を甘やかしすぎよ」
「なんだソレ。今日は姫さんが甘えたいって顔してたぞ。だから俺はー」
いやー!そんな顔してた?!
秀麗は思わず顔を上げた。
「あっ、、そういえば仕事が残ってた!燕青、先帰っていいわよ!後はやっておくから!ほほほ。いい上司ね!私!ほんといい上司だわ!」
秀麗はばたばたと燕青の膝と腕から逃れるように立ち上がると、椅子に座りなおして書翰をひっくり返していく。
「何いきなり上司ぶってんだぁ?さっきまでかわいい感じだったのに」
「何よ!」
「へいへい。仕事片付けて帰りますよ。姫さんも、もう、帰ろうぜ。俺、腹減った」
「はぁ?!何言ってんの!まだやっと日が落ちてきたくらいじゃないの」
「いーじゃん。もうカエロ」
「えっ、ちょちょちょっと!燕青!」
ぐずる秀麗を部屋から引きずり出し、部屋の鍵を閉め、もうその頃には諦め顔になった秀麗と一緒に家へかえる。
しょーがないわね、と、ため息をつきながら今日の夜ご飯は燕青の好きな餃子を作ってやろうと思った秀麗であった。

しかし、家の門の前に立っていた人物を見て燕青は顔色を変えた。
「父様!」
唯一、秀麗が燕青より心を許している男性がそこにいて、秀麗を抱きとめるのを見て、燕青は回れ右をして、その場から逃げ出したくなった。
職場での、燕青が言った嘘を、この人は絶対聞いていたはず。証拠は無いが、燕青は間違いなくそう思った。
やばい。殺される。
「燕青くぅん、何そんなところで突っ立っているんだい??家に入ろうではないか」
邵可の声音が死の宣告のように木霊した。
その瞬間、燕青は覚悟を決めてとぼとぼと紅家宅に入っていったのであった。



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秀麗ちゃん21歳設定。もうちょっと掘り下げたかったり。
色恋に発展するにはもうちょっと年が行かないとダメなような気もしますです、ハイ。






  はじめにお読みください。
  
  こちらのサイトはFF5・聖剣3・彩雲国物語の二次創作小説サイトです。
  カップリングはバツレナ・デュラリー・燕秀がメインです。
  (それ以外はあんまりありません)
  かわいいくらいのエロあります。閲覧は自己責任でお願いします。
  
  上記ゲーム等の版権元様とは一切関係ありません。
  

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