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バツレナ6

2010年05月16日 11:03

彼は一人、広い空の下で立ちすくんでいた。
彼の腕の中からゆっくり抜け出した女性が去った方を見つめながら。
腕に残る彼女の感触が、薄れていく。
空は、彼の瞳のような深い藍色に染まっていた。。







雑踏の中に建つ雑居ビル。
旅装束姿の一人の男がそのビルの中にはいっていった。
扉を開くと、中は一応こぎれいに整えてあり、簡単な応接間のような扱いらしい。
2人掛けのソファーが二つ、小さなテーブルをはさんでおいてあった。
オレンジ色の電灯が足元を照らしているが、薄暗さは払拭できそうにない。
香の匂いがかすかにする。
外ももはや暗く、人通りは少ない。
男は中にある階段をゆっくり上っていった。一足歩くたびにミシミシと嫌な音を立てる。
階段の終り近くに、スリップから伸びる長い足。
男は立ち止まり、上を見上げた。
赤毛の女がタバコを吸いながら男を見ていた。
「いらっしゃい、、久しぶりね。バッツ」
「エクスデスの情報はあるか?」
「居場所がわかったわ」
バッツと呼ばれた男は何も言わず階段をのぼり、女の腰を抱きかかえると、そのまま奥に消えた。

・・・・・

ベットがぎしりと、軋む。
男は息を整え、女はタバコを取り出す。
「あ」
女は火をつけようとして、その手にタバコがないことに気付く。
「やめとけ。からだに悪い」
女は男をじっと見ていただが、やがてあきらめたかのように起き上がって掛け布を身体にまとい、ベッドに腰掛ける。
「何よ。そんなことちっとも思ってないくせに」
女は男の手からタバコを取り上げ火をつける。煙が部屋の中に広がる。
「アンタのコイビトは吸わないの?」
煙の向こうに男の姿が見える。窓から見える街の明かりを眺めているようだった。
「、、いたら、あたしのところにはこないか。」
「吸わないよ」男が窓の外を見ながらつぶやく。
タバコを持つ手がかすかに震えた。灰が床を汚す。
「なんだ。いるのか」女はぷい、とそっぽを向く。「どうせタイクーンのお姫様だろ」
からだを起こし、男が目を丸くして女をみる。「、、なんで?」
「そうだろうと思ったんだ。有名だよ。知ってる?あんたたちを題材にした劇もあるんだよ。」
女は立ち上がり、ステップを踏みながら笑う。
「身分の違いに嘆く皇女!男は王様に言うことも出来ずに!
しかし、皇女は男のもとに駆け寄って言う・・”身分なんてどうでもいいの・・あなたのそばにいたい。私を連れて行って” しかし、男は、、、あ」
たばこがもう大分短くなっていた。あわてて火を消す。
男は女を相手にするのが億劫な風で再び、窓の外を見る。
「あたしも、そうするな、、。好きな男のもとに行くよ。皇女様の地位なんて捨てる」
女はそういうと、ベッドの隅に腰掛けた。
男は答えない。そして、ゆっくり起き上がり、服を身につける。
「もう、行くよ。仲間たちが待ってる。」
女はその筋肉質な背中を見つめ、寂しそうに見送った。
いつのまにか雨が降り出してきていた。
女は窓のそばに寄ると、雨の中を急ごうともせずゆっくりと仲間達のもとに向かう男の姿を見る。。。。
「ひどい男」
やがて雨は本降りになった。


「バッツ!ずぶ濡れじゃない!」
金髪を揺らし少女がタオルを持ってでてくる。
「悪い、途中で雨が降ってきちゃってさ」
「かぜひかないでよぉ?」
その後にもう一人女性が降りてきた。
「レナ」
レナはバッツを見つめ、それから顔を伏せる。目が赤い。心なしか、腫れているみたいだ。
「何か情報は?」
レナの姉、ファリスも奥から現れた。男装の麗人である。
「奴の居場所がわかった」
「後で聞こう。その前に着替えてこい。雨にぬれたままだと風邪をひく。」
うん、とバッツは頷いてファリスの横を通り過ぎる。
「・・・」
ファリスはバッツが通り過ぎた後、湿気に混ざって香の香りを少なからず嗅いだ。
部屋に消えていくその背を見て眉をしかめる。。

次の日も、その次の日も雨は降り続けた。しかし水煙が逆に木々の緑が青々しさを深くし、初夏の香りを告げている。
バッツは宿の外のカウチに座って何時間も雨を見ていた。
「ここ、、いいか?」
バッツの答えを聞く前にファリスが隣に座る。
雨の音。
雨の音。。。
・・・
「あんまり妹を泣かせるようなことをするなよ」
バッツはゆっくりファリスを見る。
「。。なにが?」
「なにが?じゃねぇよ」ファリスの眉間にしわが寄る。「あの女のとこにいってきたんだろう」
「情報を聞きに行ってたんだ」
「地下組織の女。。昔馴染ってやつか。。」
まだ別れてなかったのかよ。ファリスは眉間にしわを寄せたまま雨を見る。
「。。なぁ、知ってるか?俺とレナのこと、民衆劇になってるって」
バッツは微笑みながら言う。
「。。あぁ、知ってるよ」
ファリスは面白くなさそうに言う。
「ヒーローとヒロインが戦いの中で結ばれて、しかも片方はお姫様で。。世界は平和になり。。ハッピーエンド」
ファリスはバッツの顔を見る。涙こそないが、その顔は泣いているようだった。
「。。悪い。奴との戦いを前に、興奮してるのかもな」
「いや。。」
「エクスデスが憎いよ」
バッツから出たその言葉に、、正確には負の感情にファリスは目を丸くした。
魔物との戦いのときにも感じたことのない、強烈な負の感情。
「奴は、俺の故郷を奪い、町を崩壊させ。。。」
バッツはこぶしに力を込める。
「レナを、連れ去った」
バッツの瞳からは静かな憎しみの炎が噴出してきそうだった。
ファリスはバッツは見る。男装をしている自分とは決定的な違いを感じる。
男がそこにいる。女の自分には決して出せないような、強い感情。憎悪。
。。。胸が高鳴る。知らぬ間に頬が高潮してくる。
あれ。。。おれ、なに考えてるんだ。
ファリスは自分の感情を押し殺す。妹の好きな男への感情を。決してその男の感情は自分には向かいないことを知っているから。
妹の、好きな人。
妹が、、、好きな人。
知らぬうちににじみ出てきた涙を気付かれない様に乱暴にぬぐう。
「そんなに好きなら、、何で泣かせるんだよ」
「・・・・」
「レナ、泣いてたぞ」
「そっか。。」
レナも、地下組織の女との密会で何をしているのかもううすうすとは感づいているはず。
バッツは立ち上がり、歩き出す。雨は彼の背中を隠すように包み込む。
「おぃ、ちょっと。どこ行くんだよ!話はまだ終わってないぞ」
ファリスは傘をさしてバッツの背中を追う。
「俺、ふられたんだよ。」
バッツは空を仰ぎながらぽつりと言う。
「は?」
「ふられたんだ」
雨が容赦なく男の体をぬらす。
「なんだって?」
ファリスはもう一度、聞き返す。
バッツはファリスを振り返って微笑む。しかし、その笑顔には明るさがどうしても足りなかった。

・・・・・

劇の終盤、英雄は皇女をその腕に抱く・・
皇女は言う。。”身分なんてどうでもいい・・あなたのそばにいたい。私を連れて行って”
しかし男は言う。。”では、王国の民は・・お父上はどうなるか”
皇女は言う。。”・・父様は賢し、、民は愛しい、、”
皇女は涙を流す。。”それでも、、あなたと一緒にいたい、、”

・・・・・

自分の恋を優先させたら、タイクーンはどうなるのだろう。。。レナはバッツの腕に抱かれながら問うた。
バッツは、青空の人だ。タイクーンの狭い王宮の中では生きられないということを、レナは知っている。
同じように、レナもタイクーンには必要な存在。。
バッツは、その問いに答えられなかった。

・・・・・

「事実は、もうちょっと複雑で」バッツは雨に濡れて顔にまとわりつく髪の毛を面倒くさそうにかきあげる。「劇みたいに簡単に納得なんてできないんだよな。・・レナには、タイクーンを見捨てることなどできない」
「いいじゃないか、タイクーンにはおれがいるし」
ファリスはけろりと言う。あまりにも何も考えていない様子のファリスにバッツはわらってしまった。
「おまえ、ほんとにそれでいいのか」
「なにが」
「偉大なタイクーン王の後を継ぐことができるか?」
ファリスは黙ってしまった。
タイクーンのほとんどをを知らないお前に、城のこと、町のこと、政治のこと、、分かるのか?
バッツの言いたいことは、ファリス自身が痛感しているところだった。
そんなの、分かってるよ。でも、レナにはそんなもの感じさせないで自由に生きてもらいたいんだ。
それは、自分の自己満足だろうか。ファリスはバッツの問いに彼女にしては珍しく、言葉を飲み込んでしまう。
「それに、もう海には戻れないぜ」
痛いところだ。ファリスは眉間にしわを寄せた。
同時に、レナがやろうとしている意味を理解する。
「レナは、すべてを引き受けようとしてるんだよ」
雨は小雨になってきていた。雲の切れ間が見え、空が見える。
夕焼けが、見えていた。
姉に、今までどおり自由に生きてもらいたいと、レナはバッツにもらしていたことがある。
「なんだよ。。レナのやつ、おれに何にも言わないで。。」
ファリスはぷくーっと両頬を膨らます。その表情はまだあどけない様子すら感じる。
「そういう子、なんだよな、、」
バッツは、つぶやく。そして、そういう子に惚れたのは自分だ。
一生黙っていようと思った。
でも、あの時自分の心に負けて思いを口走ってしまった時から、二人の関係は微妙に変わってしまった。
「俺たちは、相手のことを思いすぎだな」
バッツもレナも、そしてファリスもレナも、お互いのことを思って引いてばかり。
あまりにも似たもの同士な3人が同じように迷って、動けなくなっている。
自分の力の無さに愕然とする瞬間。同時に何でもできるという錯覚を覚える若さ。

雨は容赦なく振り続ける。
ファリスも言葉無く傘を持ったまま立ち尽くしていた。
バッツはファリスを見て「大丈夫だよ」と微笑むと、そこから去った。


end

---------------


皇女、という身分がすべてを支配する、、永遠のテーマですな。
ここから抜け出すかもしれない、でも抜け出さないかも知れない。
そこが萌えポイント・・。


  はじめにお読みください。
  
  こちらのサイトはFF5・聖剣3・彩雲国物語の二次創作小説サイトです。
  カップリングはバツレナ・デュラリー・燕秀がメインです。
  (それ以外はあんまりありません)
  かわいいくらいのエロあります。閲覧は自己責任でお願いします。
  
  上記ゲーム等の版権元様とは一切関係ありません。
  

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