FC2ブログ

--年--月--日 --:--

上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。

バツレナ7

2010年05月29日 14:29

21. 糸


どこかに、誰かと私を結ぶ糸があるなら、早くその糸の相手を出してほしい。
姫は自分の小指を見ながら思った。
そこから糸は出てないけれど。

--------------






タイクーン王がクリスタルを求めて失踪したのは極秘事項で。
レナに国を治める能力がある訳でもなく、宰相会議で国の機能がやっとこ動いているというくらいだった。
王の不在は大きかった。


そして国を支える象徴として一人残された姫も苦痛の日々であった。

王の不在時を狙って、貴族たちがレナの将来の夫を続々と送り込んでくる。
王がいたときは後回しにしていたことだったが、姫もお年頃。将来の王様になるために権力者の駒に使用されることは事実だった。

「レナ姫」
「姫」
「薔薇君」
「桜姫」
「愛の君」

いたるところでの求愛に見せかけた嘘。
男の手のひらをかわし続け、疲労ににじんだ心が休まる暇は無く。

皇女なんて、そんなもの。

レナはにじんだ涙をぬぐった。
城の北側にある大きな窓のある階段には城の重要な機能を果たす間は無く、レナはいつも独りになりたいときはここに来ていた。
女官も、貴族もほとんど通らないこの場所。
ドレスをたくし上げ、レナは窓の桟に座った。
お父様。お父様。
このような時に守ってくれた父はいない。
風の神殿で何が起こったのか、知る手段はない。
事実は、王が失踪したということだけ。

「姫。こんなところにいたのですか」

びくりと、レナは震える。
そして振り返らないように窓の外に意識を向ける。
「相変わらず冷たいな。姫は」
そこにいた青年は額に落ちかかる髪をかきあげる。そんな姿も普通の女ならぼぅっと見つめただろう美貌の持ち主。
「ほっといてくださる?」
はっきりとした拒絶。しかし青年はかまわずレナの隣に立つ。
「そんなこと言わないでほしいな。仮にも将来の夫になる身の私に」
レナは青年をにらみつけた。それが虚勢であることはバレバレであった。
「そんなこと約束した覚えはありません」
「・・いいのですか?そんなこと言って。このまま王が戻らなければ、親戚で一番血の近い私と結婚し、子を成して王の遺志を継ぐのがあなたの役目。そして私の役目なのですけど」
レナは幼さの残る顔で精一杯の怖い顔を作ってにらみつけた。
「・・無礼ですよ。王はまだ亡くなってはいません。訂正しなさい」
「訂正しません。もう事実ですから」
「・・・なんですって?」
「王は戻ってこない。それがすべて」
青年は笑顔の裏に潜む野心を覗かせた。
「おとなしくしておいたほうがいいぞ、レナ。お前は俺と婚姻関係を結ぶんだ。拒否は許さない」
そして青年はレナの手首をつかみ、引き寄せようと力をこめる。
レナは引き寄せようとする青年をにらみつけたまま、力をこめて抵抗する。しかし男の力にはかなわない。
無礼な、と唇を開いても、強引に首の後ろをつかまれ、仰向きにされ、噛み付くような口付けを受ける。
つかまれた腕はなすすべも無く、腰をさらわれ廊下に倒される。足を足で押さえられ、体重をかけられて身動きもできない。
「・・・っ!」
尚も口付けをかわそうとする青年を全力で拒みながら、レナは悲鳴一つあげなかった。
「・・・なかなか、おてんばが過ぎるな」
喉元に当てられた片刃の短剣に意識を向けつつ、青年は言った。
これだけ男に組み敷かれながら、短剣を出してくるとは。
「あなたなんかに、私は奪えない」
レナは震える声で言った。恐怖が無いわけでは無いから。
「甘いな」
青年はレナを離し、埃を払って立ち上がった。
「奪ってやるさ。・・今日ここで殺さなかったことを後悔する日が来るぞ。覚えておけ。俺から逃がさないぞ」
レナは青年から身を離し、距離をとり、自分を守るように短剣を構え、そこから立ち去った。
青年はレナの背を見て嗤い、口付けした時に噛まれ出た血を拭うと、レナとは反対方向に去っていった。


レナはその後自分の部屋に戻り短剣を放り投げ、絹服を脱ぎ捨て、旅が出来るような簡素な服に着替えた。
高く結ってあった髪を下ろし、紐で結ぼうと束ねたが、ふと、転がっていた短剣をみた。
あの男の笑みが浮かぶ。
・・・何よ!
レナは短剣を再びつかみあげると、自分の長い髪を首もとで切り落とした。
豊かな長い髪が床に広がる。それは姫の自慢でもあり、王から愛されていた長い髪でもあった。
国を捨てるととられてもかまわない。
自分は父を見つけに行く。あんな男からも逃げてやる。
父を見つけたら、すべてが変わる。
どんなことをしても父を見つける。
自分とつながっている糸の先はあんな男ではないはずだ。
もしいるとしたら、自分から、見つけに行こう。


翌日、姫の部屋は空っぽだった。



----------------


逃げた姫。
バッツいなかった・・。



  はじめにお読みください。
  
  こちらのサイトはFF5・聖剣3・彩雲国物語の二次創作小説サイトです。
  カップリングはバツレナ・デュラリー・燕秀がメインです。
  (それ以外はあんまりありません)
  かわいいくらいのエロあります。閲覧は自己責任でお願いします。
  
  上記ゲーム等の版権元様とは一切関係ありません。
  

最新記事


上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。