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デュラリー8-1

2010年06月06日 11:10

デュランの、自分を見つけるたび。
ちょっと長丁場です。


1.

「デューラーン」
聖都ウェンデルは街中が浮かれモードになっていた。
聖剣をめぐる戦いから10年。勇者たちがウェンデルに戻ってきたこの月はお祭りだ。
そして10年という歳月。
マナの力は徐々に失われ、人々の生活も様変わりしているが、人々はマナの女神を忘れようとはまだしていなかった。
聖剣の勇者であり、今は亡き黄金の騎士の跡を継いだデュランはフォルセナの重役たちより早めに聖都に入った。
そのうわさを聞きつけたのか、はちみつ色の髪をフワフワと揺らしてこちらに向かってくる少女。






「シャルロット」

デュランはやわらかく微笑む。
この少女と会うのも何年ぶりだろう。

「いやーん、デュラン、縮んだ?」
「あほー。お前が大きくなったんだろ」
「やぁっぱり?」
シャルロットはにこりと微笑む。

人間とエルフの間に生まれたこの少女は成長するにしたがってまぶしく、神々しさがにじみ出てくる。
「もう身体は大きいの!ヒースのお嫁さんにもなれるもの!」
そうかそうか、とデュランはシャルロットの頭をガシガシとなでた。
「なにするのぅ!」
「司祭様は、どこにおられるか?」
デュランはまじめな顔つきになって言う。
シャルロットも顔を曇らせた。
「うん・・案内するわ」

ウェンデル司祭の容態があまり良くないということは一部の関係者には伝わっている話であった。
デュランは英雄王から直接聞いた。
シャルロットはデュランを教会の奥の部屋に案内した。
開け放たれている窓から風が入り、かすかにカーテンを揺らす。
そこに司祭は長椅子に身体を預け、目を閉じていた。

「おじいさま」
シャルロットが遠慮がちに声をかける。もしや眠っているのかもしれないから。
しかし司祭は眠ってはおらず、ゆっくりと目を開けた。
「・・・デュランか?」
「はい、司祭。お久しゅうございます」
デュランの差し出した手をつかもうと司祭の手が宙を泳ぐ。
「・・・!」
デュランは少し動揺して司祭の手を取ると、シャルロットを見た。
シャルロットは、悲しく微笑みながら頷いた。

「目が・・見えなくなってのぅ」
司祭はゆっくりしゃべりだした。
「そなたがこのウェンデルに来なくなってから・・何年も前だったか?徐々に、な」
「そうでしたか・・」
デュランは司祭のそばにひざをついて彼の膝に手を乗せる。
「しかし、それ以外はお元気そうだ」
司祭はかすかに微笑み、今はヒースにウェンデルのことを任せておる、といった。
「いくつになった?」
「28になりました」
「そうか・・もう10年だものな。英雄王も年を取っただろう?」
そうして司祭は笑う。
少しして司祭が眠りについたので、二人は部屋を出た。

「今日の会食には出るの?」
「ああ・・出るよ」
「そっか・・ねぇ、デュラン、リースはね、」
デュランはその名前が出てきたときにかすかに眉根を寄せたが、すぐもとの顔に戻る。
しかしハーフエルフの子はその変化に気付いた。
「・・手紙で祝辞だけだって」
「そうか」
デュランはそれだけ言って、またな、といってシャルロットから離れる。

その後姿を見守りながら、シャルロットはため息をついた。
「10年、会ってないのかなぁ・・」
一緒に戦った仲間なのに。
シャルロットは少し考え、来た道を引き返した。

期待していたわけではない。
「・・・」
デュランはそっとため息をついた。
10年ぶりに会えると思っていた仲間。
別れのときに彼女の透けるような青い瞳が曇り、潤んだことを覚えている。
今は互いの忙しさで、会う機会はなかった。

彼女は遠いローラントの地に今もいる。
年頃になってきた弟王の後見として忙しいだろう。
ローラントが隣国ナバールから開放されて10年。やっとその傷跡も癒えてきた頃だろうか。
より二つの国の信頼関係を取り戻そうと、ナバールの王はリースとの結婚を望んでいるらしい。
ローラントも、乗り気である・・という噂がちらほらとフォルセナの女たちがささやかれている・・。

今回のリースの不参加も、彼女がそのナバールの男の子供を妊娠したとかしないとか・・。
色々な憶測が一人歩きをして、常にそのような話題から離れようと勤めているデュランには想像もできない。
「・・くそっ」
デュランは何かすっきりしない気持ちを抱えていた。

自分に割り当てられた部屋の扉を開けと。
「デュラン様」
部屋のベットに先客が一人。
薄布のみを身にまとい、女はその濃紺の瞳でデュランを見つめた。
デュランは女に歩み寄ると長い金髪の髪をなでる。
「公務だと言ったろうに」
「・・・追いかけてきてしまいました」

ベットに二人分の体重がかかり、きしんだ音をたてる。
女と見つめ合う。
しかし・・・ちがう。
もっと透きとおった、青の瞳・・。
なぜ、今彼女のことが頭から離れないのか・・。
女を抱きながらデュランは違う女のことを考えている。



2.

何かが足りないと思い続けてきた。
父親の敵を討ち、世界に平和をもたらし、そして帰ってきていつもの毎日に戻る。
命の危険はなくなった。
夜もゆっくり眠れる。
暖かい家族がいる。
・・不満はない。

・・・はず。

黄金の騎士の称号を継いでも、女を覚えても、公の場に出ることが多くなっても。
何か。
その、何か。

・・・・。



聖戦終結10年を記念した祝典は厳かに進行する。
各国首脳が集まる中、物々しい警備の中で式典は始まった。
デュランは式典の最後に司祭代理としてヒースから神樹を受け取ることになっている。
そして、ウェンデルの街の広場に植えるのだ。
「・・・本来ならばこのような祝いの席には出席したく・・・」
ローラント王女・リースからの祝辞が読み上げられる。
デュランはリースの祝辞をぼぅっとしながら聞いていた。

「デュラン」

隣に座るシャルロットにつつかれて自分が呼ばれているのに気付いた。
あわててヒースが待つ壇上へ歩を進めた。
その時。

ヒースがいきなり腰を折り、背後から出てきた人影に場を譲る。
場内がどよめきにあふれた。

「おじいさま・・!」
シャルロットが血相を変えて壇上に駆け寄ろうとしているのが見えた。

病気療養ということで欠席のはずの司祭が、歩いていた。
まっすぐにデュランを目指してくる。
「・・司祭!」
デュランは司祭の腕を取り、姿勢を安定させる。
同じように反対側を支えたヒースになにやら耳打ちして二人を放し、聴衆に向いた。
皆、静まり返って事の成り行きを見守っている。

「みな、お聞き」

司祭の言葉は風となって会場内をめぐる。
決して大きい声ではないが、十分すぎるほど全員には聞き取れた。
「マナの勇者に、ひとつ使命を与えたい」
デュランは司祭を見つめた。
「神樹を、マナの聖地へ埋めてほしい」

会場がざわめいた。
「この神樹が、枯れゆくマナの樹の代わりとなることを、切に願う・・」
司祭はデュランを見てかすかに微笑んだ。
そして。

「おじいさま!!」

シャルロットの悲痛な叫び声が響く。
司祭は床に倒れこむ前にデュランに支えられた。
しかしその重みと、課せられた使命にデュランは天井を仰いだ。


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